未経験から海外営業へ転職するには?必要な4つのスキルと準備を解説

未経験から海外営業へ転職するには?必要な4つのスキルと準備を専門家が徹底解説

海外を舞台に活躍する「海外営業」という仕事に、強い憧れを抱いている方は少なくないでしょう。しかし同時に、経験のない自分が、即戦力として新しい職場で力を発揮できるのだろうか、という不安も大きいのではないでしょうか。一体、どのような準備をしておけば、その挑戦は実りあるものになるのか。今回は、そんな疑問にお答えすべく、海外営業への転職を成功させるための具体的な準備と視点をご紹介したいと思います。

目次

海外営業への道、その第一歩は「過剰な思い込み」を捨てることから

まず、海外営業という仕事に対して、ご自身で無意識に高いハードルを設定してしまっている人も少なくありません。しかし、今まさに世界を駆け回り、第一線で活躍している海外営業担当者も、誰もが最初は同じ「未経験」からスタートしているという事実は、忘れてはならない重要な視点です。

決して「やってやれないことはない」のです。まずは過度に気負わず、正しい努力を積み重ねれば自分も必ずその舞台に立てるのだと、冷静に事実を捉えることから始めましょう。その上で、現在地を正確に把握し、目標達成までの具体的な道筋を描いていくことが肝要です。

土台となる「営業基礎力」を自己診断する4つのステージ

さて、ここからは海外営業への転職を希望される方を前提に話を進めていきます。海外営業といえども、その本質は「営業」です。国内の営業で成果を出せない人が、舞台を海外に移した途端に活躍できる、ということはまず考えられません。海外では、マーケティング寄りの販路開拓といった、より幅広い役割を求められるケースも多々ありますが、その中核にあるのは、いつの時代も顧客との信頼を構築し、商談をまとめる「営業力」に他なりません。

そのため、まずはご自身の営業スキルがどのレベルにあるのかを客観的に把握することが不可欠です。ご自身が、今どのステージにいるか、冷静に自己分析してみてください。

  • Stage1:営業経験がない
  • Stage2:営業経験はあるが、一連のプロセスを一人で完結できていない
  • Stage3:営業プロセスを一通り理解し自己完結できるが、まだ結果は伴っていない
  • Stage4:営業プロセスを自走でき、かつ安定的に結果も出ている

それでは、各ステージ別に、次にとるべきアクションを考えていきましょう。

【Stage1】営業未経験者:異職種の経験を「武器」に変える発想

営業経験がないStage1の方が、いきなり海外営業職を目指すのは、他の経験者と比べて相対的に不利であることは自明です。しかし、道が全くないわけではありません。例えば、マーケティング部門での経験、特定の国や地域における人的ネットワーク、あるいはバイヤーとして培った購買側の知見など、前職の経験やご自身のスキルが、特定の企業の求める人材像に合致する可能性は十分にあります。

重要なのは、自身の経験を棚卸しし、それを企業の課題解決にどう活かせるかという「刺さる」ストーリーを構築することです。もし、それでも難しい場合は、一度国内営業で経験を積み、数年後に改めて海外営業に挑戦するというアプローチが、結果的により確実な道となるかもしれません。いずれにせよ、営業未経験から挑戦する場合、その商材やサービスを心から良いと思えるかどうかは、極めて重要な選択基準となるでしょう。

【Stage2】営業プロセス自走前の方:まずは「型」の習得に専念する

Stage2に該当する方は、まず現在の職務において、営業プロセスを一通りご自身で回せるようになるまで経験を積むことを推奨します。ここで重要なのは、必ずしも大きな結果を出す必要はない、ということです。それよりも、アプローチからヒアリング、提案、クロージング、そしてアフターフォローに至るまでの一連の「型」を、体に染み込ませることが先決です。なぜなら、その「型」さえ身につけてしまえば、扱う商材や働く環境が変わっても応用が利く、ポータブルなスキルとなるからです。

もし、現在の商材に心から情熱を注げないのであれば、それは不幸なことです。「真の営業はどんな商材でも売れるべきだ」という旧来の精神論が重視される環境であれば、自身の成長のためには環境を変えることも有効な選択肢の一つです。まずは営業の基本プロセスをマスターすることに専念しましょう。

【Stage3】営業プロセス自走後の方:結果を出すか、環境を変えるかの決断

Stage3の方は、既に海外営業に挑戦する資格を十分に有しているといえます。もちろん、現職で安定した結果を出してから、という考え方もありますが、成果というものは、本人の努力だけでなく、扱う商材、市場環境、そして職場の人間関係といった外的要因にも大きく左右されます。

一通りの営業プロセスを理解し、自走できるスキルが身についているのであれば、それは既に貴方の確かな実力です。現職に留まり、もう一段高いレベルで結果を出すことにコミットするのも良いでしょう。あるいは、そのスキルを武器に、心から売りたいと思える商材を求めて、海外という新たなフィールドに挑戦するのも、また素晴らしい選択です。

【Stage4】安定的な成果創出者:海外という新たなフィールドへの挑戦

Stage4に到達している方であれば、キャリアの選択肢は大きく広がります。国内でさらなる高みを目指すもよし、満を持して海外に挑戦するもよし、でしょう。海外営業に転職すれば、最初は文化の違いや販路開拓の手法など、慣れない部分に戸惑うこともあるかもしれません。しかし、営業の本質は国内も海外も変わりません。顧客の課題を深く理解し、解決策を提示し、信頼を勝ち取るというコアプロセスを実践できる方であれば、海外でも結果を出すのは時間の問題といえます。ご自身の課題を自ら特定し、解決に向けて行動できる方ですから、もはや心配は不要でしょう。

海外営業に不可欠な3つの専門スキル

これまでは、営業職に共通する基礎力についてお話してきました。ここからは、海外営業という職務に特有の、事前に必ず準備しておくべき専門スキルについて解説します。

① 英語力:もはや逃れることのできない必須装備

言うまでもないことですが、英語力は海外営業における必須スキルです。最近では、オンライン英会話やコーチングサービス、学習アプリなど、英語学習の方法は実に多様化しています。重要なのは、どのサービスを選ぶか、ということ以上に、「海外営業で生きていく以上、英語からは逃げられない」と腹を括り、学習にコミットする覚悟です。たとえ営業先が非英語圏の国であっても、ビジネスシーンでの共通言語が英語となるケースは非常に多いです。まずは自身の可処分時間を捻出し、学習を継続する仕組みを構築することから始めましょう。

② 貿易実務の知識:営業の信頼性を左右する生命線

「貿易実務は物流部門の仕事だから、営業は知らなくても良い」という考えは、極めて危険です。なぜなら、貿易条件(インコタームズ)の知識は、価格交渉と直結するからです。顧客から「FOB価格はいくら?」「CIFで見積もってほしい」といった基本的な質問に即答できなければ、その時点で商談の主導権を失い、顧客からの信頼も得られないでしょう。

危険負担や費用負担がどの時点で移転するのか、といった貿易実務の基礎知識は、海外営業担当者にとって生命線ともいえます。幸い、現在は図解で分かりやすく解説された良書も多数ありますので、少なくとも一冊は通読し、基本的な概念を頭に入れておくことが不可欠です。

③ 英文契約書の読解力:自社と自身を守るための防具

契約書業務を法務部に任せきりにするのも、海外営業としては避けたい姿勢です。特に輸出を伴う取引では、契約条項の一つひとつが、将来起こりうるビジネスリスクをヘッジするための重要な防具となります。例えば、製品の検品に関する条項(Inspection Clause)や、支払い条件(Payment Terms)、準拠法(Governing Law)といった重要条項のポイントを理解せずに商談を進めることは、大きなリスクを看過することに繋がりかねません。

最終的なリーガルチェックは法務部に依頼するとしても、海外営業担当者自身が、契約書のドラフトを一通り読み込み、リスクの所在を把握し、交渉の場で譲歩できる点とできない点を判断できる力は、自身の市場価値を大きく高めます。英文契約書は、決して難解なものではなく、一度型を覚えてしまえば、ビジネスを円滑に進めるための頼もしい味方となるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。海外営業という目標を達成するためには、その土台となる「営業基礎力」を確実に身につけること、そして「英語力」「貿易実務」「英文契約書」という3つの専門スキルを事前に習得しておくことが極めて重要です。転職活動を始める前から、あるいは並行してでも時間を捻出し、これらのインプットを進めておくことで、貴方の市場価値は格段に高まり、成功への道は大きく開かれることでしょう。

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