しかしながら実際には、明らかに海外と国内サイトの設計は異なります。コンテンツひとつとってもその書き方まで気を付けるべきことが大いにあります。今回はそんな海外向けサイト構築において留意すべきことをひとつとしてコンタクトフォームに関してご紹介します。
そぎ落とされた欧米、面倒くさい極まりない日系
結論から申し上げると、海外市場で日本と競合しやすい欧米企業のコンタクトフォームは極めてシンプルです。名前、メールアドレス、+αで企業によっては電話番号がある程度、一方の日系の企業は国内サイトを海外向けでも踏襲しているケースが多いため、住所や海外では違和感のあるFAX番号まで入力を求めるケースも散見されます(以下ご参照)。
さて、より重要なことは、なぜそれが問題なのか、その背景に何があるのかを理解して、腹落ちしたうえで対策を適宜講じることが重要です。
顧客視点では日系は最初から要求が多い
何が問題かというと、海外市場では顧客が購買の比較検討をしている相手は日系企業以外も含まれているからです。特に高い技術力を持つ欧米企業は直接的に日系企業が競合しやすいため、安かろう悪かろうのモノ・サービスを除き、顧客は得てして欧米企業のサイトも閲覧します。
その時に、サイト上の情報量自体はあまり変わらず、ちょっと話を聞いてみたい程度の潜在顧客に対して、欧米の競合のサイトは問い合わせの記入項目が少ししかない、一方で日系企業は事細かく情報開示を求める構成になっていたらどちらを優先的にアプローチするでしょうか。多くは前者ではないでしょうか。ここに機会損失のリスクがあり、極めてもったいないのです。
最初の顧客接点から一網打尽を狙わない欧米企業
ではなぜ欧米は問い合わせを簡素化するのか、それは商慣習面も含めて個人情報に対する感度の違いも影響していますが、集客に対するアプローチが日系よりも計画的かつ高度であるといえます。彼らはマーケティング、ウェブマーケティングともに、特に米国は日本よりも年単位で先を行っているといわれています。実際にタイムラグがあるのは業界にいてよく理解できます。そのため、ウェブ上での欧米では集客も鎬を削る戦いを繰り広げているため、様々な仕掛けで有り工夫がなされています。コンタクトフォームがシンプルであることもその一環です。
ポイントは、マーケティングに優れる欧米企業は一度の顧客接点で商談機会を作ろうとせずに、顧客を育てるという発想を持っていることにあります。コンタクトフォームで考えると明快です。日系企業のコンタクトフォームは、意図的あるいは無意識に関係なく形として一度に大量の情報を取得しようとしていることはその項目の多さから明らかです。そのため、まだ検討初期段階で少しだけ知りたい程度なんだけどなという潜在顧客に関しては、多くの企業・個人情報を開示することに躊躇いがあります。
ステップバイステップで着実に集客率を上げる欧米
一方の欧米企業のコンタクトフォームは、最低限の情報量のため、入力する潜在顧客にとって精神的なハードルが極めて低いのです。そうすると問い合わせ数の観点からみたらどちらの方が多くのリードを獲得できると思いますか?自明ですね。その後の欧米企業のアプローチは、サイト上やメールでの有益なコンテンツの提供をしながら、潜在顧客の購入検討段階が本格派するのを待ちます。そこで相手がこれまでいきなり商談もしてこないし、有益な情報を提供し続けてくれたことから自然と具体的なサービスの話を聞きたい、となりそこで詳細な情報を入手するのです。
いかがでしょうか。コンタクトフォームひとつにおいても、どちらが顧客の視点に立ったアプローチをされていると思いますでしょうか。海外ウェブマーケティングは一つの事象をとっても奥が深いです。自社に合った海外向けウェブサイトの構築や越境ECを構築し、しかるべきウェブマーケティングをしていきましょう。