CES出展を成功に導く戦略ガイド|海外展示会支援企業が企画・運営の要点を徹底解説

世界最大級のテクノロジー見本市として、その名を知らぬ者はいない「CES(Consumer Electronics Show)」。毎年1月にラスベガスで開催されるこのイベントは、世界中の企業が最新技術や革新的な製品を披露し、未来のトレンドが生まれる場所として注目を集めています。しかし、その華やかさの裏側で、多くの日本企業が「出展したものの、期待した成果が得られなかった」という課題に直面しているのも、また事実です。

単にブースを構えて製品を並べるだけでは、世界中から集まる競合の中に埋もれてしまい、投じたコストに見合うリターンを得ることは難しいでしょう。CES出展を成功させるためには、明確な目的意識に基づいた緻密な「戦略」が不可欠です。それは、海外展示会という特殊な環境を深く理解し、企画から準備、会期中の運営、そして会期後のフォローアップまでを一気通貫で設計する思考に他なりません。

この記事では、これまで数々の企業の海外展示会を支援してきた専門家の視点から、CES出展を単なる「イベント参加」で終わらせず、確かな「ビジネス成果」に繋げるための戦略的アプローチと具体的な実践方法を、余すところなく解説していきます。貴社のCES出展が成功への確かな一歩となるよう、ご参考になれば幸いです。

目次

CESとは?単なる家電見本市ではない、未来を映す鏡

まず最初に、CESの全体像について押さえておきましょう。CESは1967年にニューヨークで第1回が開催された、半世紀以上の歴史を誇る見本市です。当初は家電製品が中心でしたが、開催地をラスベガスに移し規模を拡大していく中で、その領域も大きく進化。現在では、AI、5G、IoT、自動運転、ヘルスケア、サステナビリティ、メタバースといった、社会や産業の未来を形作るあらゆるテクノロジーが集結するプラットフォームへと変貌を遂げました。

CESを単なる「最新家電の見本市」と捉えているのであれば、その認識を改める必要があります。ここでの主役は、もはや大手メーカーだけではありません。世界中から野心的なスタートアップが集い、革新的なアイデアで大手企業を脅かす。そんな下克上が日常的に起こる場所でもあるのです。その結果、CESは異業種の企業が出会い、新たな協業やビジネスチャンスが生まれる「イノベーションの交差点」としての役割を強めています。貴社がどの業界に属していようと、CESには必ずビジネスのヒントが隠されているといえるでしょう。

なぜ今、CESに出展するべきなのか?その戦略的価値とは

さて、CESの概要を理解したところで、次になぜ多くの企業が時間とコストをかけてまでCESに出展するのか、その戦略的な価値について掘り下げてみましょう。目的が曖昧なままでは、効果的な戦略を立てることはできません。CES出展がもたらす価値は、主に以下の3つに集約されるといえます。

  • ブランディングとメディア露出の最大化
    CESには、世界中から数千ものメディア関係者が集まります。ここで効果的なアピールができれば、国内外の有力メディアに取り上げられ、一夜にしてグローバルな認知度を獲得することも夢ではありません。新製品の発表や企業のビジョンを発信する絶好の機会であり、グローバル市場におけるブランドイメージを構築する上で、これ以上ない舞台といえるでしょう。
  • 質の高いリード獲得とネットワーキング
    CESの来場者は、単なる情報収集者ではありません。多くは企業の意思決定者や、具体的な導入・提携を検討しているビジネスパーソンです。彼らと直接対話し、自社の技術や製品の価値を伝えることで、質の高い見込み客(リード)を獲得できます。また、同業者や異業種のキーパーソンとのネットワーキングを通じて、新たなパートナーシップやサプライチェーンを構築する機会も豊富に存在します。
  • 市場と競合のリアルタイムな情報収集
    自社のブース運営だけでなく、会場を歩き、競合の動向や市場の最新トレンドを肌で感じることも、CES出展の重要な目的です。文献やレポートだけでは得られない、生々しい一次情報を収集することで、自社の立ち位置を客観的に把握し、今後の製品開発やマーケティング戦略に活かすことができます。

CES出展を成功に導くための完全ロードマップ

CES出展の戦略的価値を理解したら、いよいよ具体的な準備プロセスに入ります。ここでは、成果を最大化するためのロードマップを7つのステップに分けて解説します。これらはウォーターフォール的に進むのではなく、各段階で常にフィードバックをかけながら、並行して進めていくイメージを持つことが重要です。

STEP
目的とKPIの明確化

全ての始まりは「何のために出展するのか?」を定義することです。前述した「ブランディング」「リード獲得」「情報収集」の中から、最も優先すべき目的を一つ、あるいは二つに絞り込みましょう。目的が定まれば、次はその達成度を測るためのKPI(重要業績評価指標)を設定します。例えば、目的がリード獲得であれば「名刺獲得数〇〇枚」「具体的な商談化数〇件」といった、定量的で測定可能な目標を立てることがポイントです。このKPIが、後のすべての意思決定の判断基準となります。

STEP
出展コンセプトとストーリーの策定

次に、ブースで「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを考えます。ターゲットとなる来場者像(ペルソナ)を具体的に描き、彼らが抱える課題やニーズを深く洞察します。その上で、自社の製品や技術が、その課題をどう解決できるのかという「価値提案(バリュープロポジション)」を、一貫性のある「ストーリー」として構築します。単なる機能の羅列ではなく、来場者が共感し、記憶に残るような物語を語ることが、無数のブースの中から選ばれるための鍵となります。

STEP
ブース設計と施工業者の選定

コンセプトとストーリーが固まったら、それを具現化するブースの設計に移ります。ブースは単なる展示スペースではなく、ブランドの世界観を表現し、来場者とのコミュニケーションを促進する「舞台装置」です。来場者の動線を考慮したレイアウト、製品を魅力的に見せる照明や什器、そしてコンセプトを視覚的に伝えるデザイン。これらを高いレベルで実現するには、海外展示会の経験が豊富な施工業者とのパートナーシップが不可欠です。複数の業者から提案を受け、実績やコミュニケーション能力を慎重に見極めましょう。

STEP
事前プロモーション戦略

会期中の成功は、会期前の準備で8割が決まるといっても過言ではありません。出展が決まったら、ウェブサイトやプレスリリース、SNS、メールマーケティングなどを活用し、積極的に事前告知を行いましょう。特に、アポイントを取りたい重要なターゲット企業やメディアには、個別のアプローチが有効です。CESの公式ウェブサイトやアプリなどを活用し、会期中のアポイントメントを事前に確保しておくことで、当日の活動を効率化できます。

STEP
会期中のオペレーション設計

会期中は、まさに戦場です。限られた時間の中で最大限の成果を出すためには、スタッフの役割分担や説明オペレーション、リード情報を管理する方法などを事前に細かく設計しておく必要があります。誰がデモンストレーションを行い、誰がメディア対応をするのか。獲得した名刺はどのようにデータ化し、どのような情報を付記するのか。こうしたルールを明確にし、全スタッフで共有しておくことが、混乱を防ぎ、質の高い運営を実現します。また、短い時間で効果的に製品の魅力を伝えるためのプレゼンテーション練習も欠かせません。

STEP
会期後のフォローアップ体制構築

CES出展は、会期が終わってからが本当のスタートです。獲得したリードに対して、いかに迅速かつ丁寧なフォローアップを行えるかが、最終的なビジネス成果を大きく左右します。会期終了後、1週間以内にはお礼のメールを送り、その後も定期的に情報提供を行うなど、関係性を継続させる仕組みを構築しましょう。リードの温度感に応じてアプローチ方法を変えるなど、マーケティングオートメーションツールなどを活用するのも有効な手段といえます。

成果を左右する支援会社の選び方【3つの着眼点】

ここまでの一連のプロセスを自社だけですべて行うのは、特に初めて海外展示会に出展する企業にとっては、決して容易なことではありません。そこで頼りになるのが、我々のような海外展示会支援の専門会社です。しかし、支援会社と一口に言っても、その質は玉石混交です。ここでは、貴社のCES出展を成功に導くパートナーを選ぶための、3つの着眼点をご紹介します。

  • 着眼点1:CESおよび海外展示会の豊富な支援実績
    まず確認すべきは、当然ながらCESをはじめとする海外展示会の支援実績です。単にブースを建てるだけでなく、本稿で解説したような戦略立案から事後フォローまで、一貫してサポートした経験があるかを確認しましょう。具体的な成功事例や、過去に手掛けたブースの写真などを見せてもらうのが有効です。
  • 着眼点2:サポート範囲の広さと柔軟性
    貴社が支援を必要としている領域はどこでしょうか。ブース施工だけなのか、コンセプト設計から手伝ってほしいのか、あるいは現地での通訳や運営スタッフの手配も必要なのか。自社のニーズを明確にした上で、それに応えられる幅広いサービスメニューと、状況に応じて柔軟に対応してくれる体制があるかを見極めることが重要です。
  • 着眼点3:伴走者としてのコミュニケーション能力
    支援会社は、単なるアウトソース先ではなく、共に成功を目指す「パートナー」です。担当者が貴社のビジネスや製品に深い理解を示し、専門家として的確な提案をしてくれるか。そして、何よりも円滑なコミュニケーションが取れるか。最終的には「この人と一緒に仕事がしたいか」という相性の視点も、プロジェクトを成功させる上で意外と重要な要素になります。

まとめ

CES出展を成功させるための戦略と実践方法について、一通り解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。CESへの出展は、決してゴールではありません。むしろ、グローバル市場への挑戦における、重要なマイルストーンであり、新たなスタート地点です。ここで得られた経験、リード、そして情報は、貴社のビジネスを次のステージへと押し上げる、かけがえのない資産となるはずです。

ティアの海外展示会出展支援サービス

ここまでお読みいただき、海外展示会出展の複雑さや、専門的な知見の必要性を感じられた方も少なくないのではないでしょうか。ティアは、本記事で解説したような戦略立案から、ブースの企画・デザイン・施工、さらには会期中の運営サポートまで、海外展示会出展をワンストップで支援しています。お客様一社一社のビジネスゴールに徹底的に寄り添い、単なる「出展」を「成功」へと導くための最適なソリューションをご提案します。

CESをはじめ、海外展示会への出展をご検討中でしたら、まずはお気軽にティアまでご相談ください。

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