海外展開のために国内向けの既存パンフレットやリーフレット等の紙媒体、あるいはサイト等のWEB媒体を活用して、海外向けに社内で各種クリエイティブを作成しようと思ったときに、そのまま英訳するケースが多いですが、気をつけるべきは多々あります。
今回はそのうちの一つであるテキストに関して解説します。今回は、ブランディングの観点から細部までこだわる方が疑問に思うであろう「あれ?文字揃え(Text align)ってどうすればよいのだろう?」の疑問について考え方をシェアします。
文字揃えの種類
事業会社ではPPTやWord、Excel使う機会が多いかと思います。その際に上記のような文字揃えアイコンはよく見覚えがあると思いますし、実際に使っていると思います。読んで字の如くですが簡単に整理しましょう。
左揃え | 通常・デフォルトで使用します |
中央揃え | アイコンや画像と併せて直下に文章を中央揃えで置くケースは多いですね |
右揃え | レイアウト構成上右側ブロックは右揃えにする等、レイアウトを鳥瞰的に捉えて使用。 |
両端揃え | 文字間に余白を入れて各行の終点を揃える。最終行は左揃え。 |
両端均等揃え | 文字間に余白を入れて各行の終点を揃える。最終行も上行幅に揃える。 |
日本語と英語それぞれの言語の構造の違いに要注意
よくパンフレットやリーフレット等を制作する際に、見た目の美しさから文章を両端揃えにして見栄えを整えることは制作業者の基本のひとつです(場合によってはその限りではない)。
しかし、それが実現できるのは日本語の構成上、ひらがな、カタカナ、漢字どの文字の連続であろうと、原則文字間にスペースがありません。それが英語で考えると英語は単語単位のため、単語が終わると次の単語までに必ずスペースが空きます。
そして、単語の長さは実に様々です。以下具体例です。先ず、単純に両端揃えすると見ての通り、醜いですよね。では、両端均等揃えするとどうなるか、これまたスペースがまばらにでこぼこしておりこれまた美しくありません。細部を疎かにしないという視点でブランディングを考えるとあまり望ましくはないでしょう。
プロであればこのような英語の特性を持つうまく使いこなして本末転倒にならない範囲で両端揃えをすることも可能です。また、プロが使用するエディターの自動余白のケイパビリティも異なります。そのため、慣れていないと上記のように単語間のスペースが悪さをして、あるスペースはとても長く、あるスペースはとても短い等、本末転倒になってしまうケースが多々発生します。
海外事例紹介
ここで実際にいくつかの海外事例をみていきましょう。注意点として、目的や媒体のテイストによって文字揃えに唯一解はなく勿論ケースバイケースですので、あくまで参考として位置付けるようにしましょう。
Interbrand:
グローバルで有名なブランディングの外資系ファームであるインターブランド社のお馴染みBest Global Brands ReportのPDFデータでは左揃えになっていますね。
Source: Interbrand
THE NEW YORK TIMES
新聞はどうでしょうか?権威あるニューヨークタイムズのWEB媒体では左揃えですね。新聞は媒体の特性上基本的にデイリーベースでのアップなので、都度そこまでデザイン面での視認性をテキストアラインベースで細部に行うには費用対効果も懐疑的というのが実情でしょうか。いずれにしても左揃えです。
source: The New York Times
TIME
続いて比較的手を入れている印象を強い紙媒体の雑誌はどうでしょうか。先ずはニュース系の権威TIME。これまた左揃えですね。ちなみにTIMEは週刊です。
source: Time
InStyle
ファッション、ライフスタイル系の紙媒体の雑誌はどうでしょうか。米国の女性向けファッション雑誌のInstyleはこんな感じです。またまた左揃えです。雑誌だと割とそろえる感がイメージがありますよね。
やはりありました。ここで左揃えに加えて、右揃えや中央揃えを使ったレイアウト構成も確認できます。しかし、均等揃えは見当たらないのが確認できます。
source: InStyle
Factfulness
それでは書籍はどうでしょうか。こちらは日本でもベストセラーになりましたファクトフルネスの英語版です。左揃えになっていますね。個人的には書籍は両端揃えになっている曖昧な記憶、先入観がありました。
source: Amazon
Shoe Dog
それでは書籍の中でも小説ならばどうでしょうか?こちらは日本でも同じくベストセラーになったナイキの創業者によるShoe Dogです。これも左揃えです。
source: Amazon
正解はないが基本左揃えで問題ない
さてざっとみてきましたが左揃えが殆どでしたね。勿論、絶対にこうしなくてはいけないという正解はありません。媒体上での世界観づくりのために両端揃え等までしっかり対応するパブリッシャーもブランディングのエージェンシーも無きにしもあらずでしょう。
とはいえ、事業会社の方が現場で作成される際は、基本的には左端えをベースに、両端揃え、特に均等両端揃えはあまり意識しなくてよいでしょう。
TIERではWEB媒体、紙媒体両方のクリエイティブ制作を行っております。海外向けの各種作成でお悩みに事業会社の方は是非お気軽にお問い合わせください。