質の高いコンテンツを制作し、定期的に更新しているにもかかわらず、なぜか検索順位が上がらない。Webサイトを運営する多くの方が、一度はこのような壁に突き当たった経験をお持ちではないでしょうか。その原因は様々ですが、意外にも見落とされがちなのが、コンテンツ内での「引用」の作法です。良かれと思って掲載した他サイトの情報が、知らず知らずのうちにGoogleから低品質な「重複コンテンツ」と判断され、サイト全体の評価を下げる要因となっているケースは、実は少なくありません。
今回は、そのような事態を避け、コンテンツの信頼性をむしろ高めるために不可欠な、WordPressにおける正しい引用タグの使い方を、SEOの観点から解説します。
なぜ、コンテンツの「引用」がSEOにおいて重要なのか?
まず、具体的な方法論に入る前に、そもそもなぜ「引用」の仕方がSEOにおいて重要視されるのか、その理由を深く理解しておく必要があります。その背景には、Googleが掲げる絶対的な理念が存在します。
Googleが低品質と判断する「重複コンテンツ」のリスク
Googleの使命は、検索ユーザーが求める、最も質の高い情報へ迅速にアクセスできるよう、検索結果を常に最適化することです。その観点から、他サイトの情報を単にコピー&ペーストしただけのような、独自性のない「重複コンテンツ」は、ユーザーにとって価値が低いと判断されます。もし、あるキーワードで検索した際に、上位表示されるサイトの内容がどれもほとんど同じであったなら、ユーザーはGoogleそのものに不信感を抱くことでしょう。
このような検索体験の質の低下を防ぐため、Googleは重複するコンテンツに対してペナルティを課し、検索結果の上位に表示されにくくする措置を取ります。悪意のあるコピーコンテンツはもちろんのこと、たとえ善意であったとしても、他者の文章を適切な処理なく掲載することは、このリスクを招く行為に他ならないのです。
正しい引用がもたらす、SEO上の2つのメリット
では、信頼できる情報源から文章を引用したい場合は、どうすれば良いのでしょうか。ご安心ください。Googleも、文脈を補強したり、主張の根拠を示したりするために引用が必要であることは、当然理解しています。そして、そのために「これはコピーではなく、正当な引用である」と検索エンジンに明確に伝えるためのHTMLタグを用意しています。これらのタグを正しく使用することで、重複コンテンツのリスクを回避できるだけでなく、むしろSEOにおいてプラスの効果を期待できます。
- メリット1 – コンテンツの信頼性と権威性の向上
公的機関の発表や、著名な研究者の論文、あるいは業界の権威ある団体の定義などを引用することで、自社のコンテンツの主張に客観的な裏付けが加わり、信頼性と権威性(E-E-A-TにおけるAuthoritativenessとTrustworthiness)が向上します。 - メリット2 – 良質な外部シグナルの獲得
正しく引用元を明記することで、引用元のサイト管理者から評価され、被リンクやSNSでの言及といった、さらなる評価に繋がる可能性があります。
目的で使い分ける2つのHTML引用タグ
HTMLには、引用の目的や長さに応じて使い分けるべき、2つの主要なタグが存在します。それぞれの役割を正しく理解し、適切に活用することが重要です。
長文や段落の引用に用いる<blockquote>
<blockquote>
は、その名の通り、ブロックレベル(段落単位など)の比較的長い文章を引用する際に使用します。このタグで囲まれた部分は、一般的なブラウザでは左右にインデント(字下げ)が入ったスタイルで表示されることが多く、視覚的にも引用部分であることが明確になります。
ここで重要なのがcite
属性と<cite>
タグの使い分けです。
cite
属性<blockquote>
タグの中に書き込む属性で、引用元のURLを記述します。これは主に機械(検索エンジンなど)に、情報の出所を正確に伝える役割を持ちます。<cite>
タグ
読者に見える形で、引用元の著者名やWebサイト名などを明記するためのタグです。
例えば、アメリカマーケティング協会(AMA)によるマーケティングの定義を引用する場合、以下のように記述します。
<blockquote cite="https://www.ama.org/the-definition-of-marketing/">
<p>
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.
</p>
<cite>
<a href="https://www.ama.org/the-definition-of-marketing/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
American Marketing Association (AMA)
</a>
</cite>
</blockquote>
文中の短いフレーズの引用に用いる<q>
タグ
一方、<q>
タグは、文中の一文や短いフレーズといったインラインレベルの引用に用います。このタグで囲まれた部分は、一般的なブラウザでは自動的にダブルクォーテーションで囲まれて表示されます。
cite
属性は <q>
タグでは使用されない認識が現在は強く、引用元を明示したい場合は、別途 <a>
タグなどでリンクを記載することが推奨されます。たとえば、Googleの企業理念を文中で引用する場合は、以下のように記述します。
Googleの有名な企業理念には、<q>ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。</q>というものがあります(<a href="https://about.google/philosophy/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Source: Google</a>)。
WordPressでの具体的な引用タグ実装方法(ブロックエディタ編)
さて、理論を理解したところで、次はWordPressの編集画面で、これらのタグを実際にどう実装するかを見ていきましょう。ここでは、現在の主流であるブロックエディタを基準に解説します。
ブロックエディタの「引用」ブロックの正しい使い方
WordPressのブロックエディタには、<blockquote>
を簡単に入力するための引用ブロックが用意されています。エディタ上で「/引用」と入力するか、ブロック追加ボタンから選択することで、引用ブロックを挿入できます。

以下のように引用としてのセクションが表示されるので、ここに入力した内容が<blockquote>
に囲まれます。

引用元URL(cite
属性)の追加方法
検索エンジン向けのcite
属性(引用元URL)は、このブロックの通常の編集画面からは入力できません。cite
属性を追加したい場合は、少しだけ手作業が必要です。
- 「引用」ブロックを選択した状態で、ツールバー右上のオプションメニュー(︙)をクリックします。
- メニューから**「HTMLとして編集」**を選択します。
- 表示されたHTMLコードの
<blockquote>
タグに、cite="引用元のURL"
という形式で属性を直接書き加えます。
この一手間を加えることで、検索エンジンと読者の双方に対して、より誠実で信頼性の高い情報提供が可能になります。
最終的なWordPressでのHTMLコード例 (blockquote含む引用全体): ※再掲
<blockquote cite="https://www.ama.org/the-definition-of-marketing/">
<p>
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.
</p>
<cite>
<a href="https://www.ama.org/the-definition-of-marketing/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">
American Marketing Association (AMA)
</a>
</cite>
</blockquote>
まとめ:正しい引用は、良質なコンテンツ制作の第一歩
今回は、SEO評価を下げないための、WordPressにおける正しい引用方法について解説しました。コンテンツの価値は、その独自性によって決まります。しかし、信頼できる情報を正しく引用し、自らの主張を補強することで、その価値はさらに高まります。
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正しい引用方法の実践は、効果的なSEO戦略のほんの一部に過ぎません。もし貴社が、コンテンツマーケティングやオウンドメディア運営、あるいはより高度なSEO戦略の立案と実行において課題を抱えていらっしゃるのであれば、ぜひ一度ティアにご相談ください。私たちは、数多くの企業のデジタルマーケティングを支援してきた実績を基に、貴社のビジネス成長に貢献する最適なソリューションをご提案いたします。