ホームページを多言語対応する方法&費用

海外向けにホームページを制作する場合、対象地域・国の言語に対応させることで問合せや購入等のコンバージョンを改善することが重要です。ホームページの多言語対応の方法及び費用については、マーケティングチーム等のWEBサイト運用担当者からよく頂く質問です。実際は前提条件や要件によって大きく異なりますが、翻訳だけであれば数万円から数十万、システムまで含めて実装となると、数十万から数百万をイメージしておくと一つの目安になるかと考えます。

但し、前述の通り、前提条件によって大幅に異なります。実務上大事な点として、多言語化を業者に依頼する際に、無駄な費用を支出は避けたいところです。今回は実装のポイント、特に費用面を中心に把握しておくべき内容を整理しましたのでお役立てください。

目次

システム実装

よく使用されるWordPressを例に考えると、多言語化するためには、プラグイン等を活用したシステム実装をする必要があります。多言語システムを実装すると、通常のサイトよりバックエンドが複雑になるため、無料のプラグインを使用しても実装、特にバックエンドの作業に工数がかかり、結果として費用が発生します。

昨今のトレンドでもある越境ECサイト制作においても、多言語化ニーズは大きく、その場合にデファクトスタンダードとなりつつあるShopifyを用いた多言語対応をする場合もアプリ(WordPressのプラグインの位置づけ)を有効活用しましょう。無料アプリもありますが、実用面から考えて有料アプリを導入する場合は、導入費用に加えて、月のランニングコストが増加します。

尚、スクラッチで制作する場合は、更にコストがかかるため、予算、用途、利便性、セキュリティの観点からサイトの多言語化について検討する必要があります。以下ではWordPressでの制作を前提に、定番の多言語プラグインを3つご紹介します。プラグインはテーマやその他プラグインと干渉するとエラーになるので実装時は慎重にご対応下さい。

WPML (有料)

有料にはなりますが、特に高機能が求められる大規模サイトでの利用に適しています。投稿ページや固定ページ、カスタム投稿タイプなど幅広いページに対応しています。ユーザーフレンドリーなUIであり、初心者から経験者まで使いやすい設計が特徴とされています。また、SEO面でも一定程度バックエンドの設計上ではカバーされています。一方で実際の使用感ですが、個人的にはどちらかと言うと老舗のプラグインであるが故に、UIはそこまでフレンドリーという印象はありませんでした。他のプラグインとも干渉が一部あったので、完全有料であることを考えるとファーストチョイスにはならないかなという印象です。テーマやプラグインが干渉しなければ、安心感は相対的にあると思います。

Polylang(一部無料)

シンプルで使いやすい多言語プラグインで、基本的な機能は無料で利用可能です。投稿ページや固定ページ、カスタム投稿、カテゴリ、タグなどの翻訳を手軽に行えます。無料プランでも多くの機能が利用でき、簡単な設定で多言語対応が可能な点が魅力です。有料版ではSEO強化機能やEC機能を付加するWooCommerceとの互換性もあります。但し、WPMLと比べるとサポートや一部機能での制限があり、基本はシンプルな多言語サイトでの利用を推奨いたします。

TranslatePress(有料)

画面上で直接翻訳が行える視覚的なUXが魅力です。リアルタイムでウェブページを見ながら翻訳を行うため、効率よく翻訳作業が進められます。 直感的な操作ができ、手動と機械翻訳の組み合わせにも対応しています。多言語SEO機能もあり、必要に応じてGoogle Translate APIなどの自動翻訳を活用することもできます。主に、小規模から中規模のサイトに適しています。

サイトページ数

通常のサイト制作の場合、ページ数によって請求するサイト制作会社は多いため、例えば1000文字/ページと500文字/ページ×2の多言語対応をする場合、後者は翻訳対象の文章量とは別にサイトページあたりの単価も請求対象になることがあります。狭義では多言語化に伴うコストではありませんが、ゼロベースで業者に制作を依頼する場合は、無駄なコスト増になる場合もあるため注意しましょう。

このあたりは、新規で多言語サイトを制作するか否か、あるいはページは一つで言語表示だけ動的に切り替えるか否か等によって、費用対象になるかどうか決まります。当該視点も含めたサイト設計、特にURL構造が多言語サイトを安価に制作する重要なポイントの一つとなります。

翻訳対象言語数

これはイメージし易いと思います。翻訳する言語が多い程、その分コストは嵩みます。
よくあるパターンとしては以下の通りです。

英語のみ

日本企業の一般的なアプローチである英語のみ翻訳対象とする方法です。注意点として、英語と一口にいっても、発祥である英国、マーケットの大きい米国では、英語・米語と比較されるようにスペル等も異なります。そのため、重点地域・国が明確であれば、当該エリアで使用されている表現で統一しましょう。

英語+フランス語

英語の次に使用されているフランス語(フランス、スイス、ベルギー、カナダ等)も含めたパターンです。特にBtoCのアパレルや雑貨ブランドがフランスも含めて海外販路を開拓したい場合によく選択される組み合わせです。また、アフリカは歴史的側面からフランス語圏の国も少なくありませんので、自動車業界等、アフリカも含めて海外展開したい場合にも選択されます。

中国語(簡体字・繫体字)

シンガポール等の華僑を含む中華圏を対象にして中国語対応するケースです。尚、中国語は2つあり、簡体字は中国本土やシンガポール、繁体字は台湾、香港・マカオになりますのでご注意ください。

英+仏+中

上記を組み合わせた複数地域・国グローバル展開している企業を中心としたパターンです。
尚、英語、フランス語、中国語は、いずれもグローバルでよく使用される言語であり、相場は大きく異なりません。 

翻訳文字量

これは自明ですが、文字量が多いと料金も上がります。以下、一般社団法人 日本翻訳連盟が掲載している翻訳料金の目安です。今は低価格化傾向にありますので、相場はもう少し安い認識ですが、ご参考までに共有いたします。

翻訳料金(クライアント企業の翻訳発注価格)の目安 –  英日・日英翻訳の場合
(単位:英日の場合は原文の英語 1 ワードあたり、日英は和文原稿の1文字あたりの価格)

※上記は、一般的な実例の平均値を分野ごとに示した翻訳料金の目安です。
※専門性、難易度、翻訳量、納期、原文・訳文のデータフォーマットや処理の種類と程度、そして品質レベルなどによって大幅に異なります。また当然ですが、翻訳会社など受注側の価格方針などによっても差が生じます。

翻訳料金の目安 | 日本翻訳連盟加盟企業の翻訳料金 (jtf.jp)

翻訳の品質

一口に翻訳と言っても、機械翻訳と人力翻訳があります。これまではGoogle翻訳からDeepL翻訳、そして最近はChatGPT4の台頭等、かなりの精度で翻訳可能な機械翻訳が増えております。メールのやりとり等では問題ない反面、WEBサイト等では世界観やブランディングもあるのできちんと翻訳しておきたいというニーズは実に多いです。その場合には、プロによる人力翻訳が選択肢となりますが、その分コストが嵩みます。また、翻訳後にネイティブチェック(プルーフリーディング)をかける場合には、更にコストが嵩みます。尚、ネイティブチェックの相場は1単語当たり10円前後が多いです。

WEBサイトデザイン

国によって文化や商慣習が異なるようにWEBサイトのレイアウトやデザインも異なります。日本のサイトをそのまま多言語化するだけでは、肝心の目的である集客とは程遠い結果にもなりかねません。そのため多言語化する際は対象地域・国に合わせてホームページのデザインをアップデートすることが重要です。デザインのローカライズにより別途デザインの費用がかかります。

多言語サイトはTIERにお任せ

以上となりますが、冒頭でお伝えしました通り、正確な費用を知るためには、要件を具体化した上で見積り依頼をする必要があります。要件定義の仕方がよく分からないという方は、TIERにご相談下さい。要件定義の段階から伴走支援いたします。TIERでは昨今のDXを組み込んだ多言語サイトや越境ECサイトの制作を低コストで承っております。ご興味ございましたらいつでもお気軽にお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!

Writer

小木曽 尚史のアバター 小木曽 尚史 Hisashi Ogiso

株式会社Strategy & Design Labo (TIER) 創業者 & 代表取締役 | 早稲田大学卒。大手商社/米国駐在、MBA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、現職 | Global・HR・DXを軸に大手から中小企業、スタートアップ、民間から行政、国内から海外まで幅広く取引、延べ500社以上の企業支援、100人以上のキャリア支援 | 経産省/IFF MAGICセミナー登壇、海外省庁への戦略提言、海外スタートアップメンター、海外政府からの現地展示会招待実績等 | JETROパートナー | JICA専門家 | #起業家 #ヘッドハンター

目次