[dropcap]海[/dropcap]外に販路を開拓するにあたり知財の対策は特段悩まれるケースが少なくないと思います。今回は知財の中でも比較的多くの業種にあてはまる海外現地商標登録に関してご説明いたします。
目次
概要
海外販路開拓の準備として、国内同様リスクヘッジの観点から、現地での商標を取得(知財保護)する。
重要度合 : ★★★★★
業者サービス料金形態:国数や区分が増えると更に増加
よくあるトラブル
- ニーズがあるかわからない中で現地で営業を始めたが、
知らない間に現地で当該商標が取られてしまった。
- そもそも現地販売前に、現地企業が当該商標を取得していた。
- 現地で自社の商標と酷似した模造品が跋扈しており、
ブランディング毀損や身に覚えのない不当な対応に迫られた。
ポイント
- 出願対象国及び対象国数によって、マドリッドプロトコル国際出願の利用を検討する。
- 冒認出願問題等の事後対応に備え知財対策を講じる。
入口として先ずはこれをおさえればOK:
- 出願方法:2パターンある。
1. 国別に個別・直接出願する。
2. マドリッド協定に基づき申請する(マドプロ申請)
※EU一括登録は、EUTM(欧州連合商標制度)利用によりEU加盟国に対して一括登録可
- 有効期間:国によって異なるものの基本は10年、更新可能。
- 登録までの期間:準備から申請、現地正式登録まで1年、2年かかる可能性ことも視野に入れておく
※マドプロでは原則審査期間1年半の縛りがあるため、審査で1年半以上かかることはない。
※ご参考:2012年時点で米国および中国の登録審査期間は10ヵ月程度
- 必要情報:基本的には出願人の名称・住所、対象国、商標、指定商品。
- 個別(直接)出願費用:業者を通すと15万~25万程度(国数や区分が増えると更に増加)
- マドプロ出願費用:以下参照
- 個別(直接)出願のベネフィット:
1) 対象国が数ヵ国の場合はマドプロ活用よりも安くなりやすい。
2) 現地代理店と直接繋がるため商標に関する法律関係の情報が入りやすい。
- 個別(直接)出願の留意点:
1) 複数国に申請するにつれて、各国の法規制対応等含めて管理が煩雑になる。
2) 都度現地翻訳コスト・代理店報酬がかかるため対象国が増えると費用が嵩む。
- マドプロ出願のベネフィット:
1) 現地代理人不要、各国の現地語への翻訳が不要になる分低コスト。
2) 窓口一本化により管理が用意。
3) 国内特許庁が窓口のため安心。
- マドプロ出願の留意点:
1) 全ての国に対応している訳ではない。
2) 国内での商標取得が前提条件。
3) 基礎出願が拒絶・無効となった場合、マドプロによる国際登録分は無効となる。
手順
- 今後の事業戦略・海外戦略も鑑みた上で、出願対象国を選定する。
- WIPOのGlobal Brand Databse等を用いて、わかる範囲で対象商標が現地で被っていないか確認する。
- 出願対象国がマドリッドプロトコル協定に加盟しているか確認する。
2016年6月時点で97か国が加盟 加盟国を確認する