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①-4 現地調査:仮説検証をする – マクロ環境分析

外向けの戦略製品及び販売対象国が適度に複数程度絞り込めたら、いよいよ実際に現地調査に入ります。目的は端的に「その国でこの製品のニーズはあるか?」に対する問いに対してYes or Noの結論を出し、次のステップの戦略・計画策定に駒を進めることです。

それでは複数想定される「販売国×対象製品」の組み合わせがニーズベースで成立するか否かを確認するアプローチ確認していきましょう。

調べる方法は2つに大別できます。1つ目は、実際に現地に赴いて調査する方法です。もちろん自分たちの目で直接現地を調査・確認することが理想的です。但し、コストや時間等の制約や調査の内容によっては餅屋の発想で調査会社に任せるパターンもあります。

もう1つの方法は、日本にいながらインターネットで調査する方法です。こちらは現地に実際に赴いて調査するよりも旅費交通費等のコストをセーブすることができるため、コストを優先する場合には有効です。

尚、実際には事前にネットで調査をした上で、現地で実地調査をすることが本来のあるべき流れになります。そのため、どちらかで良いと考えるのではなく、よほどコスト的に厳しくない限りは、基本的には両方を押さえるようにしましょう。目先のコストを押さえた結果、現地調査が中途半端になり、その後のプロセスがうまくいかず結果的に数ヵ月を無駄にすることは避けたいところです。失ったコストの額は人件費に換算すると計り知れず、本末転倒となってしまいます。

推奨アプローチ:

デスクトップリサーチでマクロ環境を各国横串で比較する

例えば、ASEAN市場で考えてみましょう。販売国、流通拠点としてのシンガポール、生産国としてのタイ、インドネシアやベトナム、BPOのフィリピン等、業界や扱う商品によって国ごとに概ねのカラーはあると思います。

しかしながら、それだけで安易に決めてしまうと、誰もが容易に分かるような市場参入となり、レッドオーシャンでの戦い必至です。つまり、調査不足による戦略の失敗です。このリスクを少しでもヘッジするために先ずはマクロデータで最低限のスクリーニングをするという認識が大事です。換言すると、マクロデータの分析だけで特定製品が市場で売れるかどうかは分かりえないと認識することです。極端な話、一人当たりGDPが高いからといって、高いモノが売れるとは限らないし、そもそも自社の製品を顧客にみてもらわない限り判断しようがないということは念頭におきましょう。

それではどのような視点でマクロ分析を行えばよいでしょうか。いろいろな視点や方法がありますが、分かりやすい方法としてPEST分析が挙げられます。PEST分析とは下図の現地調査に必要な3カテゴリの内、マクロ環境の4つの項目を調査することを指します。

PESTとは英単語の頭文字を繋げた言葉であり、それぞれPolitics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)を指します。つまりひとつの分析の仕方として、ある国を分析しようと思った時に、先ずはマクロ視点でこの4つを押さえておけばそれなりに網羅的といえる分析になります。以下でイメージできるように簡単で分かり易い例を確認していきましょう。


例1: 政治
事象:米国でオバマ大統領に代わりトランプ政権が発足。
仮説検証への影響:販路としての有望と考えていた米国の優先順位は劣後
選挙活動中からTPPを断固否定していた通り、トランプ政権はTPP脱退を正式表明により、関税等のメリットが受けられる予定だった自社製品の米国開拓シナリオが白紙に戻った。

事象:ベトナム政府の掲げる工業化戦略に変化あり
仮説検証への影響:販路候補であるベトナムの順位が優先。
ベトナム政府の掲げる工業化戦略含む経済成長戦略において、10ヵ年計画 (2010-2020)のアップデート版として掲示された5ヵ年計画ベクトル(2015-2020)では、2020年ベトナム工業化に向け引き続き機械系に重点、また新たにエコ領域も重点化していおり自社製品に合致することが分かった。

例2: 経済
事象:GDPは低いが実質GDP成長率が3年連続で高いCLM諸国
仮説検証への影響:メインではないものの販路候補群として異なる視点面からマーク。
ASEAN諸国の中で直近3年間(2012-2014)の実質GDP成長率がシンガポールやタイを筆頭に他国と比べて高いため、もう少しその背景を掘り下げて自社製品の販売可能性が長期的な視点で期待できないか調査を続けることにした。

例3: 社会
事象:今後インドネシア、フィリピン、ミャンマー、マレーシアの人口ボーナスが本格化。
仮説検証への影響:販路候補として残しておくべき国と判断。
ASEAN諸国の今後の人口の展望として、長期的には人口減が続くタイに対して、人口ボーナスが本格化する上記4ヶ国インドネシア、フィリピン、ミャンマー、マレーシアは自社製品の特性からマーケットとして好ましい条件ではあることが分かった。

例4: 技術
事象:インドネシアとCLM諸国のインターネット普及率は未だに低い。
仮説検証への影響:販路候補として優先順位は劣後。
ASEAN諸国のインターネットユーザーの割合(2014) を確認する限り、インドネシアは17%、ラオスは14%、ミャンマー、カンボジアに至っては一桁台であり、インターネットユーザー数が自社製品の普及率と密接にかかわるため、販路としては劣後すると判断した。

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